障害区分見直しと重度訪問介護サービス



施設入居までにやらなければならないことに障害区分の見直しがあった。入居前に自宅で生活している時の障害区分は4で、障害サービスとして家事援助と外出支援に加えてショートステイを利用していた。給付された時間は十分にあり、自宅にいる分には不自由を感じることはなかった。

しかし、施設に入居するとなればそれでは足りず、十分な介護サービスを受けられない可能性があるので、誕生日月の3月に行われる状況調査に合わせて障害区分を見直してもらえるように市の障害福祉担当者にお願いした。

実際に、いざりのような姿勢で部屋の中での移動はかろうじて出来たものの、着替えやトイレも同居する家族の介助が必要で、ベッドからの起き上がりも日によっては困難なこともあり、常に誰かの見守りと介助がなければ寝たきりになるような状態であるということを障害福祉担当者に話をすると、障害区分の変更は何とか認めてもらえるのではということだった。

障害区分が4から5になるとこれまで受けていた障害サービスが重度訪問介護サービスに変わることになる。重度訪問介護サービスとは、文字通り重度の障害を持つ者に対して見守りや移動支援などを含めた、生活全般にわたる支援を行うサービスのことで、これが使えるようになると月あたりの介護サービスの給付時間も増えるので施設への入居後も十分な介護を受けることができる。

状況調査の後、しばらくして新しい障害サービス受給者証が届き、無事、障害区分が変更されたことが確認できた。しかし、ここからがまた大変だった。といっても、大変だったのはボクではなく、市の障害担当者とケアマネにあたる相談員、そして入居予定の施設のサービス責任者の方たちだ。

なにしろ、重度訪問介護サービスを使って老人ホームに入居するという例がこれまでになかったらしい。そのため、他市でそういった例があるかどうかネットで調べたり、大阪府の障害課に問い合わせたりと苦労していただいた結果、ようやく入居後のサービス利用計画が出来上がった。

そして、入居の日取りも6月末と決まった。施設探しを始めてからほぼ一年。時間がかかった分、納得のできる施設選びができたのではないかと思う。いよいよ引っ越しとなるのだが、そこでも予期せぬ出来事が。それはまた次回に。


体験入居、偶然の再会



年が明け、いよいよ二泊三日の体験入居となった。そこでまたサプライズが。最初に見学に行った施設、つまり断られてしまったが第一希望だった施設での体験入居でお世話になった方がスタッフとして働いていたのだ。奇遇というか、転校した学校で先に転校した元同級生と偶然再会したような感じとでもいえばいいのか、おかげで初めての施設での体験入居の緊張感も一気にほぐれた。

体験入居に使わせてもらったモデルルームは西向きの大きな掃き出し窓があって明るい。ベッドの他には、テレビと冷蔵庫、衣装タンスが備わっていて、シンプルだけれども快適に過ごせそうだ。

トイレは入り口の横、洗面台の横にあり、車いすでも使えるようにカーテンで仕切られている。便座の高さも低めでボクにとってちょうどいい高さだった。公共の施設の多目的トイレでは、足腰の弱った高齢者にとって立ち上がりやすいように便座が高めになっているところが多い。しかし、僕の場合は逆に低い方が姿勢が安定するので使いやすいのだ。トイレに限らず、体験入居では、洗面台の高さや食事のテーブルの高さなど毎日何度も使うところの使い勝手の良し悪しを確認することはとても大切なことだといえる。

この施設の定員は56人となっているが、体験入居の時には入居率は6割ぐらいのように思われた。そのせいか食事の時にも広い食堂が混雑するようなこともなく、ゆったりと食事をとることができるし、またその食事が美味しいときている。この施設を運営している会社の社長は有名料亭で修行した板前さんだったことがあり、食事には力を入れているのだそうだ。

特にスタッフの方が皆さん明るく、介助に手のかかるボクにもやさしく接してもらえて、アットホームな雰囲気も感じることができた。入居者はほぼ全員が高齢者で入居者同士でのコミュニケーションは難しいように思えたが、それ以外は何もかもが希望の条件を満たしていた。

最初の例もあったし、体験入居を終えるとすぐに紹介センターの相談員さんを通して入居申請を提出した。幸い、施設長からはすんなりと入居についてはOKをもらえた。しかし、入居の時期はもう少し待って欲しいとのこと。部屋は空いているので、スタッフの人数が揃うまでということだったのかもしれない。介護業界はどこも人手不足なのでこれは仕方がない。

ようやく入居先が決まってひと安心。後は入居の日を待つだけと思っていたら、まだ一仕事残っていた。それについてはまた次回に。


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