トレーナーをリフォームしてみた


 

障害を持って困ることの一つに身体の変形や手足の関節の拘縮などで衣服の脱ぎ着がしづらくなることがある。自宅にいるときは運動やストレッチにもなると思って自分で着替えていたが、ホームに入居してからは着替えはほぼ全てスタッフに介助してもらっている。これで随分と身体の負担は減り、楽になった。しかし、その分、衣服選びの基準はデザインがどうのとか色がどうのとかよりもより脱ぎ着の介助をしてもらいやすいことに重点を置くようになった。そういった脱ぎきしやすいと思われる衣類は主にネット通販で探すのだが、なかなか見つからないのが悩みとなっている。

ホーム内では上着はポロシャツを着ることが多い。なのでポロシャツを購入する時はなるべく伸縮性の良い素材で脱ぎ着が楽なものを選んでいる。伸縮性のあまりない生地だと腕や首を抜く時に窮屈になってスタッフから「大丈夫?痛くない?」といらぬ気を使わせてしまうことがあるからだ。問題は、ズボンである。特にウエストのゴムだ。ウエストのゴムは緩い方がいい。緩くても立って歩くわけではないのでずれ落ちるという心配はない。それにボクの場合、トイレ介助では便座に座ってから脱がせてもらうという形なのでできるだけウエストが広がる方がやりやすいのだ。

しかし、最近のジャージやスエットはどれもゴムが生地に縫い付けてあり、簡単に交換することができないようになっている。そのため、ウエストのゴムを替えようと思うと一旦全部解いてからもう一度縫い合わせるという鬼面倒くさい作業が必要になる。それではと、これをリフォーム専門店に持ち込んでやってもらうとなると元のジャージ以上の値段になってしまう。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり。世の中には困っている障害者に手を差し伸べてくれる心優しい人たちもいるのだ。今住んでいる地域には介護が必要な人の衣料のリフォームを実費程度の料金でやってもらえるスーパー有難いボランティアグループがあり、これまでにもウエストゴムの交換だけでなく、ジャージタイプのズボンに前ボタンを付けて前の開くイージーパンツ風へのリフォームでもお世話になったことがある。



今回は、お気に入りのトレーナーを簡単に脱ぎ着できるように、その両脇から袖にかけて大きく開くように長めにファスナーを付けてもらうといった大胆なリフォームをお願いした。こうすると頭から被った時にファスナーで開いた両脇から腕を出すことができ、その後、手首だけを袖に通し、ファスナーを閉じると着衣完了となる。このやり方だと袖に腕を通すという作業がないので着るときに肩や肘の関節にほとんど負担をかけることがないだろうし、脱ぐときはファスナーを開いた後、両方の手首を抜けば、裾からたくしあげて頭を抜くだけでOKのはず。

実際に、この改造トレーナーを試してみたところ、確かに肩や腕を無理に曲げたり伸ばしたりすることなくするっと脱ぎ着することができた。介助してもらったホームのスタッフによれば、着る時にあちこちが開いているのでどこに腕を通せばいいのかパズルのようでちょっと戸惑うけれども慣れれば大丈夫。それに脱がす方はとっても簡単になったと言ってもらえた。思いつきでリフォームしてみたが、結構うまくいったみたいだ。上着の着脱に苦労しているという人は是非このリフォームを試してほしい。








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